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◇オルゴールのくるくるちゃん◇



 「オルゴールのくるくるちゃん」こみねゆら(講談社/2015年9月発行)

  セルロイド人形のくるくるちゃんは、昔、小さな女の子と暮らしていました。
  その頃、くるくるちゃんはミトちゃんと呼ばれていました。

  今、くるくるちゃんは博物館のオルゴール人形として踊っています。
  でも、くるくるちゃんは回り過ぎたり、ふわりと浮き上がったり、上手く踊れません。
  他の4人のオルゴール人形は陶器で出来ていたのに、くるくるちゃんはセルロイドで、
  羽のように軽かったからです。
  くるくるちゃんは上手に踊れなかったけど、楽しく過ごしていました。

  ところがある日、新しい陶器のお人形がやってきて、くるくるちゃんは窓辺のかごに住むことになりました。
  ある風の強い日、くるくるちゃんは窓の外に落ちてしまいました。
  やがて、秋になり、冬になりました。

  ある日、くるくるちゃんは通りかかった犬のしっぽに、「えいっ」と手を伸ばしてしがみつきました……
  そして……、くるくるちゃんは昔小さな女の子だった人と再会したのでした。



  お人形さんの冒険物語です。
  可愛いお人形たちが並んだ表紙を開くと、見返しはピンクのバラ模様。
  林の小路の先に洋館があり、その建物がくるくるちゃんが住んでいる博物館です。
  冒頭部分から、わくわくしますね。

  くるくるちゃんも陶器のオルゴール人形たちも愛らしいです。
  お人形たちのドレスもステキです。

  くるくるちゃんが、窓辺のかごに移される時、
  陶器の人形たちが別れを悲しんで泣いてくれるところが良いな〜と思いました。
  くるくるちゃんは踊りは上手ではなかったけど、他のお人形たちと仲良しだったのですね。

  クライマックス、くるくるちゃんが犬のしっぽにしがみつく場面はすごい!

おにんぎょうだって、ひっしのときには、
  これくらいのことが、できるのです。(本文より)

  くるくるちゃんが懐かしい人に再び巡り会うのは、クリスマスの季節です。
  外は雪が降っていても、クリスマス・ツリーの置かれた部屋はとても暖かく感じます。
  可愛らしくて、ロマンティックで、少しドキドキする絵本です。

    無料素材倶楽部様  無料素材倶楽部様  無料素材倶楽部様

  ただ、一つだけ気になったのですが…
  ミトちゃんが博物館に来るようになった経緯が謎なのです。
  女の子がどこかに置き忘れてしまったのか、
  お母さんに処分されてしまったのか、
  おうちの窓から落ちてしまったのか…?
  何もかも明らかにされなければならない、ということはないのですが、
  私は気になってしまいました…(2015/10/13)

  ◇柊のイラストは「無料素材倶楽部様」からお借りしました。

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