「ゴーストハント2 人形の檻」小野不由美(メディアファクトリー)
「ゴーストハント」シリーズとは… 渋谷一也率いる渋谷サイキックリサーチ(通称SPR)が、 霊能者たちと共に霊障(霊が原因)と疑われる怪異事件に挑むホラーミステリー小説です。 ちなみに色々謎に満ちたSPR所長渋谷一也は若干17歳の美少年。 ニックネームは、本人が有能で自信家でナルシストという理由から『ナル』と命名されています。 ヒロインは普通の女子高生の谷山麻衣。 ある事件をきっかけに、SPRで事務(主に力仕事と雑用)をすることになりました。 『ナル』の名付け親でもあります。 彼女の一人称で物語が語られます。 「人形の檻」は、ゴーストハントシリーズの第二巻です。 ポルターガイスト現象が頻発するという古い洋館の調査に赴く、 ゴーストハンター・渋谷サイキックリサーチの面々。 八歳の娘・礼美の持つビスクドール「ミニー」に悪霊が憑いているのか? 調査と除霊が進むにつれ、霊たちの反発は激しさを増し、次々と事件が起こる。 子供たちの霊を操る黒幕の正体とは…? 舞台は趣のある古い洋館。 可愛い子供部屋や庭の四阿(あずまや)でお人形遊びをする美少女……まるで一幅の絵のようです♪ この小説の嬉しいところは、人形の由来がきちんと書かれているところですね。 パリの蚤の市で購入されたハンドメイドのビスクドール。刻印は無し。 ブリュに似せたレプリカだが、スリーピングアイなので忠実な復刻ではない。 10〜20年ぐらい前に制作された人形ではないか?(p180より要約) アンティークドールの定義や、ブリュとジュモーの記述もあります。 人形ファンにとっては色々想像が膨らむところです。 ……少女もお人形も愛らしいですが、事件の核にあるのは、悲しい事件と「想い」でした。 ちなみに原作小説とは別にコミックスも出ています。 原作は登場人物が多く、調査も除霊も遅々として進まず冗長な印象がややあります。 (まあ、霊相手の調査なんて、そんなにちゃっちゃと進むはずないですよね… 水のトラブルではないのですから…) コミックスはテンポ良く進みます。 その分、事件の渦中の家族の心情の描かれ方に物足りなさを感じるかもしれません。 小説は人々の心理描写がきめ細かく描かれています。 原作とコミックス、どちらもそれぞれの魅力があります。 ところで、ゴーストハントシリーズは「最大の謎」に関して各巻に伏線が張り巡らされており、 最終巻で一気にその謎が明かされるという、二重のミステリーになっています。 少女向け小説・コミックスですので大人の方には読みにくい箇所もありますが、 機会がありましたらお手にとってご覧下さいませ♪(2012/12/16) ◇ゴーストハントのコミックス 「ゴーストハント」いなだ詩穂 原作:小野不由美(講談社コミックスなかよし) |